NO.106   活きる(活着)

監督:張藝謀           

出演:葛優 鞏俐 郭涛 

   倪大宏 姜武   牛犇

1994 中国 131分
















お待たせしました!長らくリクエストをいただきながら、なかなかご紹介できなかった『活きる』です。
この映画は、張藝謀監督や中国映画が世界的な評価を受ける嚆矢となった作品で、カンヌ国際映画祭審査員大賞、主演男優賞を受賞。当初、中国国内では政治的理由から上映禁止となっていました。
1940年代の国共内戦、三反五反運動、50年代の大躍進政策、60年代の文化大革命と、大きく3つの時代の政治的な出来事を背景に、庶民が政治や体制に翻弄されながら生きていく姿が描かれます。

40年代、賭博に身を持ち崩し、家屋敷も財産も失った福貴は、いったんは妻子に去られ、母とともに暮らしていましたが、気をとりなおし、相棒の春生とともに得意の歌を生かして影絵芝居の一座を作り巡業に出ます。ところが、旅の途上で国民党に徴用されてしまい、大砲を牽かされることに。逃亡もかなわず、国民党惨敗の中、今度は人民解放軍の一員として大砲を牽いたり、芝居で兵士を慰問して表彰状までもらい、家に帰ります。家では戻った妻子が待っていましたが、老いた母はすでに亡く、幼い娘は高熱がもとで耳が聞こえなくなっていました。福貴から賭博で家屋敷をまきあげた友人は反動地主として処刑され、福貴と妻・家珍は家屋敷を持ったままであれば処刑されたのは自分たちだたかもしれないと、震えあがりつつ胸をなでおろします。

50年代、大躍進政策の中で、鍋も釜も供出して、人々は人民食堂で食事をとりますが、耳の聞こえない娘、鳳霞は子どもたちにいじめられ、それをかばうのは、福貴の留守中に生まれた弟息子の有慶。しかし福貴は他の子をいじめるとして有慶を理解せず、ようやく和解したときに有慶は突然の事故死。その原因を作ったのはかつての影絵芝居時代の福貴の相棒、現在は区長になった春生でした。謝り償いたいとする春生を家珍は許さず、春生は去っていきます。
60年代、文革がはじまると、影絵人形は旧文化として批判され焼却を迫られます。やがて起こる娘鳳霞と造反派隊長で片足が不自由な二喜との縁談、心配されたものの幸せな結婚をする2人、ところが文革によるしっかりした産科医の不在から起こる鳳霞の出産の悲劇、と次々におこる事件のあと、最後に遺されて、饅頭(出産時のエピソードからついた名前です)と名付けられた孫息子と老いた福貴、家珍の夫婦の姿で映画は幕を閉じます。

原作は前年に発表された余華の同名小説。脚本にも余華が参加していますが、映画のほうが原作の悲劇的な結末に比べて救いのある終わり方になっています。
日本ではずいぶんと待たれたあと、2002年3月、確か文化村?での公開でした。前売りチケットを買うと映画に出てくる餃子の形をしたポストイットが景品としてもらえたっけ…。当時の話題作で、ご覧になった方も多いかとは思いますが、どうぞお楽しみください。







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電影倶楽部例会

      日時 2019年5月18日(土)12:15~

      場所:立川・中華五十番3F 042-522-7472

      費用:1050円(昼食代)

参加ご希望のかたは、以下にメールにてお申込みください。(当日午前9時まで)

xiaolin091@gmail.com






 




          

 



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